Published: 2025-09-16 20:31

新型ハーレーダビッドソン ローライダーSTが、“いいとこ取り”の最新モードだったワケとは？

ハーレーダビッドソンの新しい「ローライダーST」は、完成度の高い1台だった！ 河西啓介がリポートする。

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シートに跨ると、この日一緒に試乗した「ブレイクアウト」が足を思い切り前に投げ出すフォワードコントロールだったのに対し、ローライダーSTはミッドコントロール。膝を90度に曲げて自然に足を下ろした位置にステップがある。

ステップ位置がやや高めにレイアウトされているのは、バンク角を確保し、長大な車体でもライダーが積極的に操つれるようにするための工夫だ。

エンジンは1923ccVツインの「ミルウォーキーエイト117」。同じ117でもブレイクアウトとはチューンが異なる。ブレイクアウトは103HP／168Nmを発揮する「カスタム」仕様なのに対し、ローライダーSTは114HP／173Nmを発揮する最もパワフルな「ハイアウトプット」が搭載されている。

ハイアウトプットは（ハーレーにしては）高回転型のキャラクターを持ち、2.0リッター近い大排気量ながらとてもスムーズにまわる。3000rpm付近まではVツインらしい鼓動を感じさせるが、さらに回せば振動は収まり、レブリミットまで滑らかに吹け上がる。

低回転から強烈なトルクを叩きつけてくるブレイクアウトのエンジンに対し、ローライダーSTは回転とともに力強さを増していく。結果としてパワフルであるが扱いやすく、速さにつながっているのだ。

足まわりの仕上がりも好印象だ。倒立式フロントフォークに、充分なストローク量を確保したリアサスペンションを組み合わせ、直進安定性と旋回性、そして乗り心地を兼兼ね備えている。

キング・オブ・ザ・バガーズの人気もあり、近ごろではこうした大型ツアラーでもガンガン走りたいというライダーが増えている。ローライダーSTはまさにそうした要望に応える一台だ。

今回は都心での短い時間の試乗にとどまったが、大型フェアリングにサイドバッグを備えるローライダーSTの真骨頂は、ツーリングに出かてこそ発揮されるだろう。従来のハーレーラインナップでは、スポーティなモデルは積載性やユーティリティに欠け、大型ツアラーは走りの軽快さに乏しいという印象があった。しかしローライダーSTはその“無いものねだり”を満たし、“いいとこ取り”を実現したモデルだと言える。

しかもそのスタイルは西海岸の最新モードをまとい、見た目にもイケている。「ハーレー2025年モデルでどれが欲しい？」と、きかれたら、僕はこのローライダーSTを選ぶだろう。