Published: 2025-05-08 06:40

カシミール地方 インドの攻撃にパキスタン反発 報復が焦点

インド政府は、先月起きたテロ事件への報復として、7日、パキスタン側のイスラム過激派組織の拠点を攻撃したと発表しました。これに対して、パキスタン政府は市民に多くの犠牲者が出ていると激しく反発し、今後さらなる報復に踏み切るかどうかが焦点となっています。

インド政府は、パキスタンと領有権を争うカシミール地方のうち、パキスタン側の実効支配地域などをミサイルで攻撃したと、7日、発表しました。

カシミール地方では先月22日、インド側の実効支配地域でインド人観光客ら26人が銃撃されて死亡するテロ事件があり、インド政府はパキスタン側の関与を主張していました。

今回の攻撃はその報復だとして、イスラム過激派組織の拠点9か所をミサイルなどで限定的に攻撃したとしていますが、ロイター通信はこれまでにパキスタン側で31人が死亡し、46人がけがをしたと伝えています。 インド軍は2019年にも、カシミール地方で起きた治安部隊を狙った攻撃をめぐり、パキスタン側に越境して過激派組織の拠点を空爆しましたが、専門家は、このときの攻撃では市街地から離れた場所を標的にしていたのに対し、今回は人口が密集する地域も対象となっていると指摘しています。

パキスタン政府はテロへの関与を否定するとともに市民に多くの犠牲者が出ていると激しく反発し、シャリフ首相が声明で報復を表明するなど、両国の緊張が高まっていて、今後パキスタン軍がさらに報復に踏み切るかどうかが焦点となっています。 トランプ大統領「できることあれば協力する」 アメリカのトランプ大統領は7日、緊張が高まるインドとパキスタンの情勢について、ホワイトハウスで記者団に対し「本当にひどい状況だ。私はどちらの国とも良好な関係を築いていて、どちらの国のこともよく知っている。今すぐにでも彼らがやめることを願っている」と述べ、両国に攻撃をやめるよう呼びかけました。

そのうえで「私に何かできることがあれば、喜んで協力する」と述べ、緊張の緩和に向けて協力する用意があるという考えを示しました。

両国をめぐっては、インドによるパキスタンへの報復攻撃を受け、アメリカのルビオ国務長官がそれぞれの安全保障担当の補佐官と電話で会談し、自制を呼びかけるなど、アメリカ政府も核保有国どうしの緊張の激化に懸念を強めています。