Published: 2025-05-02 05:37

沖縄戦から80年 戦没者の遺骨収集 米軍埋葬記録もとに調査検討

沖縄戦から80年となる今も見つかっていない戦没者の遺骨の収集に向け、県などが、住民や兵士を埋葬したアメリカ軍の記録をもとにした調査を検討していることが分かりました。

沖縄戦では20万人以上が命を落とし、戦後80年となる今も多くの人たちの遺骨が洞窟などに残されていて、収集が続けられています。

こうした中、県が調査を委託している戦没者遺骨収集情報センターが、当時、アメリカ軍が作成した住民や旧日本軍の兵士の埋葬記録をもとにした調査を検討していることが、関係者への取材で分かりました。

沖縄戦研究者の保坂廣志さんが、アメリカの国立公文書館で入手したこの埋葬記録には、アメリカ軍の遺体を回収する部隊によって埋葬した日にちや場所、住民や兵士ごとの人数などが記されています。

それによりますと、この部隊は沖縄本島に上陸してから1か月余りとなる5月12日の時点で、兵士644人と住民41人を埋葬したとしています。

特に、旧日本軍の総攻撃が失敗した翌日の5月5日には、当時の浦添村牧港周辺で住民を含む70人以上を埋葬したことが読み取れます。 長年にわたって沖縄戦の遺骨収集を行っている具志堅隆松さんは「遺体を埋めた側の記録は信ぴょう性が高く、重要だと思う。時間と人数を投入して調べる価値は十分あるし、やらないといけない」と話していました。 米軍の遺体埋葬資料の内容 アメリカ軍の資料によりますと、この部隊は、戦死した味方の遺体を戦場で回収することや、敵の遺体を発見場所の近くに埋葬することなどを担当していました。

また、この部隊を説明する内容から、専門家は障害がある兵士がこうした任務を担っていたのではないかとしています。

資料の中の活動日報によりますと、この部隊は、沖縄本島に上陸してから1か月余りとなる5月12日の時点で、兵士644人と住民41人を埋葬したとしています。

特に、旧日本軍の総攻撃が失敗した翌日の5月5日には、日本兵およそ80人や住民の遺体を「7877C」という場所などに埋めたという記述が確認できます。

アメリカ軍は当時、沖縄の地図を1マス、200ヤード＝およそ180メートル四方で分割し、数字やアルファベットを割りふって、場所を識別するのに使っていました。

「7877C」は、当時の浦添村牧港周辺にあたります。

NHKが活動日報と地図を照合したところ、遺体を埋葬した区画は30か所近くに上っていました。

資料にはこのほか、「遺体の腐敗が始まる前にブルドーザーを使って作業をすることで、病気のリスクを軽減できる」など、具体的な作業の手順も記されています。