Published: 2025-09-01 20:30

新型マツダCX-80 XD Lパッケージに“凛”としたものを感じた理由とは？ 高級とは、ゆとりのことである!!!

新型マツダ「CX-80」の“素”のディーゼルモデル「XD」に、今尾直樹が試乗した。印象はいかに？

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乗り心地はヨーロッパ志向のマツダらしく、引き締まっているけれど、兄弟車のCX-60より、ややソフトな気がする。それでもフラット感があるのは、CX-60より250mm長い、3120mmのロングホイールベースのおかげだろう。CX-60で、経験を積んだこともある。

ちなみに同じ3列シートでもトヨタ「ランドクルーザー300」のホイールベースは2850mm、ランドローバー「ディフェンダー110」のそれは3020mmで、CX-80は頭抜けて長い。可変ダンピングなしでもフラット感のある乗り心地が実現できているのは、この長いホイールベースがあればこそだろう。

235/50R20という扁平大径タイヤが、路面によってはSUVらしい乗り味をもたらしていることも確かだけれど、都内近辺の舗装路面で激しくSUVを主張するものではない。

完全バランスの直6エンジンのスウィートさは首都高速に上がると明瞭に感じられる。

2000rpmを超えるとスムーズネスが増し、低回転域で聴こえていたボーボーという吸気音みたいなサウンドがスーッと聞こえなくなり、3000rpmを超えると快音を発し始める。いまどきのディーゼルはディーゼルであることを忘れさせる。ガソリン・エンジンに較べると、回転はゆっくり目で、クラシックカーの6気筒みたいだ。

レッドゾーンの始まる5000rpmまで回したい……と、思ったけれど、せいぜい4000rpmに届くか届かないか、で終わってしまった。231psの最高出力は4000―4200rpmで生み出すわけだから、3.3リッター直6のお楽しみはこれからだった。高級とは、ゆとりのことである。というのも確かで、CX-80の高級を筆者は味わったのだ。

Mi-DRIVEをスポーツに切り替えると、噛みつくような、鋭いピックアップが感じられる。エコ・モードもあるけれど、そっちは試していない。

2列めシートの乗り心地も快適で、3列めでも身長170cmの大人ふたりが乗れる。

3列めを畳めば、広い荷室が現れる。ミニバン的な使い方もできる、後輪駆動のクロスオーバーSUVは、国産車ではCX-80のみである。

マツダ「ロードスター」と一緒にガレージに並べたら、新しい景色が生まれる。と、思ったけれど、ロードスターが隣にあらずとも、マツダCX-80は凛としたものを感じさせる。

連帯を求めて孤立を恐れず。ロータリー・エンジンの量産化に世界で唯一成功し、世界中で愛されているロードスターをいまもつくり続けている広島の自動車メーカー、マツダのスピリットを持っているのだ。