Published: 2025-04-30 20:11

ゴールデンウィークに映画を観るならこの5本！──GQエディターが厳選したカルチャー度高めの作品を紹介

ソフィア・コッポラの名作や岩井俊二の『Love Letter』、A24のスリラーや、萩原利久×河合優実の青春映画までGWに劇場で公開されている作品をピックアップした。

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■ソフィア・コッポラの名作を35mmフィルムで上映

ソフィア・コッポラ監督が手掛けた『ロスト・イン・トランスレーション』、『マリー・アントワネット』、『SOMEWHERE』の3作を貴重な35ミリフィルムで上映中。スタイリッシュでありながら、孤独に寄り添う温かみのある世界観を撮り続けるソフィア・コッポラを代表する3作品を、味のあるフィルム上映で観られる絶好のチャンスだ。

2003年に公開された『ロスト・イン・トランスレーション』は、見馴れた東京の景色をいつもと異なる目線で切り取った名作で今でも人気を誇る。2006年の『マリー・アントワネット』は可愛らしさと毒っ気が融合したガールズムービーの代表格。New Order、The Cure、The Strokesなどが参加したサウンドトラックは今でも色褪せない。2010年の『SOMEWHERE』はLAにあるホテル、シャトー・マーモントが舞台で、『aftersun／アフターサン』などに影響を与えた父と娘映画の金字塔となっている。

──『Sofia Coppola in 35mm Films』── ル・シネマ 渋谷宮下にて公開中 ©東北新社

■公開30周年記念、岩井俊二の『Love Letter』を4Kリマスター上映

1995年3月25日に公開され、今年で30周年となる岩井俊二監督・長編デビュー作。第19回日本アカデミー賞では優秀作品賞を受賞し、一人二役を演じた中山美穂は、ブルーリボン賞、報知映画賞、高崎映画祭などで主演女優賞を受賞した。日本公開後、20カ国以上の国と地域で公開。1999年に韓国で初公開された際には140万人を超える動員を記録。韓国では公開当時「お元気ですか？」が流行語となり、今では20代の若者からも絶大な支持を獲得、今もなお、世代を超え世界中で愛され続けている恋愛映画。

神戸に住む渡辺博子 (中山美穂) が、山の遭難事故でフィアンセの藤井樹 (いつき) を亡くして2年が経った。三回忌の帰り道、樹の家を訪れた博子は、樹の中学時代の卒業アルバムから彼がかつて住んでいた小樽の住所を見つけ出した。 博子は忘れられない彼への思いをいやすために、 彼が昔住んでいた小樽=天国へ一通の手紙を出すと、あろうはずのない返事が返ってきた。やがて、博子はフィアンセと同姓同名で中学時代の同級生、ただし女性の藤井樹が小樽にいることを知る。一通のラブレターが埋もれていたふたつの恋を浮き彫りにしていく。小樽を舞台に中山美穂、豊川悦司が贈るピュアラブストーリー。中山美穂が渡辺博子と藤井樹の難しい二役に挑戦している。

──『Love Letter』4Kリマスター── TOHOシネマズ日比谷などで公開中

＜映画館で公開中の新作＞

■A24が手掛けたサイコスリラー！『異端者の家』

ヒュー・グラントがサイコパスな悪役に扮し、迷路のような家に足を踏み入れた2人の若いシスターの脱出劇を描いたサイコスリラー。

ふたりのシスターは、布教のため森に囲まれた一軒家を訪れる。ドアベルを鳴らすと、出てきたのはリー ドという気さくな男性。妻が在宅中と聞いて安心したふたりは家の中で話をすることに。早速説明を始めたところ、天才的な頭脳を持つリードは「どの宗教も真実とは思えない」と持論を展開する。不穏な空気を感じたシスターは密かに帰ろうとするが、玄関の鍵は閉ざされており、助けを呼ぼうにも携帯の電波は繋がらない。帰るには家の奥にあるふたつの扉のどちらかから出るしかないとリードは言う。信仰心を試す扉の先で、彼女たちに待ち受ける悪夢のような「真相」とは。

──『異端者の家』── TOHOシネマズ 日比谷などで公開中 © 2024 BLUEBERRY PIE LLC. All Rights Reserved.

■時代が変わる今こそ観るべき作品『教皇選挙』

第78回英国アカデミー賞で作品賞を含む最多の4冠を受賞し、米アカデミー賞では、作品賞を含む8部門にノミネート。カトリックの総本山バチカンで行われる教皇選挙（コンクラーベ）の内幕を描く。

ローマ教皇が心臓発作で急逝し、新たな教皇を選出するためのコンクラーベが行われることとなった。世界各国から100人余りの枢機卿がバチカンに集結し、首席枢機卿のローレンス（レイフ・ファインズ）は、準備に翻弄されていた。教皇選挙はカトリック教会の伝統に根差した神聖な行事だが、保守派とリベラル派がいがみ合い、対立候補を陥れようと画策するなど、疑惑と野心が渦巻くその様は政治スリラーそのもの。緋色の法衣をまとった枢機卿は高齢の男性ばかりで、紺色の服をまとった修道女が影に追いやられているという構図は“世界最古の家父長制”とも言われるカトリック教会の現実を体現している。密室で行われるコンクラーベのスリリングな応酬を描き、現代社会が抱える問題に一石を投じる作品。

──『教皇選挙』── TOHOシネマズ シャンテなどで公開中 Courtesy of Focus Features. © 2024 Focus Features,LLC. All Rights Reserved.

■俳優陣の名演に圧倒される『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』

お笑いコンビ「ジャルジャル」の福徳秀介が2020年に発表した恋愛小説「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」を映画化。

大学生の小西徹（萩原利久）は、思い描いていたキャンパスライフとはほど遠い、冴えない毎日を送っていた。そんなある日、お団子頭の女子大生・桜田花（河合優実）の凛々しい姿に目を奪われ、思い切って声をかける。いろいろな偶然が重なり、またたく間に意気投合する2人。会話が尽きないなか、「毎日楽しいって思いたい。今日の空が一番好きって思いたい」と桜田が何気なく口にした言葉が、小西の胸を刺す。その言葉は、小西が大好きだった、いまは亡き祖母の言葉と同じだった。桜田と出会えたことに喜ぶ小西だったが、そんな矢先にある出来事が2人を襲う。

──『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』── ヒューマントラストシネマ渋谷などで公開中 © 2025「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」製作委員会

編集と文・遠藤加奈（GQ）