Published: 2025-07-02 07:49

アメリカ トランプ大統領の減税法案 議会上院で僅差で可決

アメリカの議会上院は、トランプ大統領が重要政策として掲げる減税策を盛り込んだ法案を僅差で可決しました。法案をめぐっては大規模な減税による財政悪化への懸念が根強く、下院での審議が次の焦点になります。

アメリカ議会上院は1日、トランプ政権が重要政策として掲げる減税策を盛り込んだ法案を採決にかけ、その結果、過半数を握る与党・共和党の一部議員も反対に回り、賛成50、反対50の同数となりましたが、上院議長を兼務するバンス副大統領が賛成票を投じて可決されました。

法案には、トランプ政権1期目に実施した個人の所得減税の恒久化、飲食店の従業員などが受けとるチップや残業代への課税を一定期間免除することなどが盛り込まれていますが、ことし5月に議会下院が可決した法案に修正が加えられているため再び下院に送られます。

アメリカの議会予算局は法案が成立すれば今後10年間でおよそ3兆3000億ドル、日本円にして470兆円余り、財政赤字が拡大するとの試算を公表しています。

議会下院では財政規律を重視する与党・共和党の議員も多く、下院での審議が次の焦点になります。 トランプ大統領とマスク氏の対立再び トランプ大統領が重要政策として掲げる減税策を盛り込んだ法案について実業家のイーロン・マスク氏が改めて強く批判し、トランプ大統領との対立が再び表面化しています。 トランプ政権で5月末までDOGE＝“政府効率化省”を率いて政府支出の削減などを進めてきたマスク氏は30日、SNSに「もしこのばかげた法案が可決すれば、翌日に『アメリカ党』が結成される」と投稿し、改めて批判するとともに国民の声を代弁する新たな政党が必要だとの考えを強調しました。 これに対し、トランプ大統領は1日未明にSNSに投稿しました。

このなかでマスク氏はみずから手がける企業が連邦政府から多額の補助金を受け取ってきたとしたうえで「補助金がなければ、マスク氏はおそらく事業を終わりにして出身地の南アフリカに帰ることになるだろう。ロケットの打ち上げも、人工衛星も、電気自動車の生産もなくなり、私たちの国は大金を節約できるだろう。DOGEによく調べてもらおう」として以前、マスク氏が率いたDOGEを持ち出して、マスク氏を批判しました。

さらにトランプ大統領は1日、訪問先の南部フロリダ州で「DOGEがマスク氏に注目すれば大金を節約できるだろう。彼は私とそのようなゲームをするべきではない」と発言し、マスク氏をけん制しました。