Published: 2025-07-07 07:03

俳優・永島敏行、愛車遍歴を初めて語る！ 2台続けて乗り継いだ欧州車とは？

愛車を見せてもらえば、その人の人生が見えてくる。気になる人のクルマに隠されたエピソードをたずねるシリーズ第73回。前編では、俳優の永島敏行さんが、かつて乗っていたサーブと久しぶりに再会した！

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「おおっ、これですよ。僕のは2ドアだったけれどやっぱりマニュアル（トランスミッション）で、懐かしいなぁ……。久しぶりに見ました」

撮影場所に現れたサーブ900を目にした俳優の永島敏行さんは、「25歳のときに手に入れた、はじめての愛車がこのサーブだったんですよ」と、目を細めた。本当に気に入っていたと語るサーブ900の話の前に、まずは運転免許の取得から振り返ってもらう。

「僕は千葉市の旅館の息子で、昭和31年生まれだから高度経済成長期の真っ只中に育ちました。“3C”といってカラーテレビ、クーラー、そしてマイカーが普及する時代ですが、うちの親父はクルマが嫌いだったんですね。というのも、旅館を継ぐ前は競輪の選手だったんで、どこへ行くのも自転車（笑）。だから、うちにクルマはありませんでした。その代わりというわけではないけれど、両親とも映画が大好きで、時間ができるといつも映画館に連れて行ってもらっていました」

永島さんは1977年に映画『ドカベン』でデビューするけれど、それも映画好きの両親の存在があったからだという。

「僕はただの大学の野球部員だったんですけれど、野球で食っていけるわけがない、と、親が勝手に映画のオーディションに申し込んでしまったんですよ。そうしたらなぜか受かってしまって、でも撮影中に東映のスタッフの方に飲みに連れて行ってもらうと、お前は才能がないからやめておいたほうがいいと言われまして（笑）。そりゃそうだと思っていたら、ATG（日本アート・シアター・ギルド）の『サード』という映画のオーディションがあって、また親父が勝手に申し込んでしまったんですね。自分は向いていないと思っていたからオーディションに行かなかったんですけど、次の日に電話が鳴って、『該当者がいないからぜひ来てくれ』と」

俳優は向いていないとのことだけれど、永島さんは『サード』で数多くの新人賞を受賞している。

「あの作品では東陽一監督に、『演技をしなくていいから、普段通りにすればいいから』と、言われて、ありのままを撮ってもらったのがよかったんでしょうね。まだ20歳そこそこで、事務所にも所属していない、ただの野球部員でした。その後、事務所に入ったけれど、マネージャーがつくこともなく、ずっと電車で現場に通っていました。23歳ぐらいのときに、そろそろ免許を取ろうと思って、東宝のスタッフの方に紹介してもらって、二子玉川のコヤマドライビングスクールに通いました」